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ステップ ただただ泣いて笑いたいときに

中央公論新社サイトから引用

ぱんだりやん

ども、どこかのだれかの役に立ちたいブロガーです。

重松清さんの小説は、最近は涙腺が弱くなった自分としては涙なしでは読めない作品が多いです。

単なる「お涙頂戴」という作品ではなく、すぐ感情移入して泣いちゃう感じです。

ちなみにこのステップは、父娘が中心の物語なのですが、我が家は私も娘もともに号泣でした。

ただただ泣いて笑いたい。そんなときにおススメ。

■親子の絆に涙
■子供の成長に涙
■まわりのサポートに涙

ここまで書くと泣く泣く詐欺?泣け泣け詐欺?みたいですね。ごめんなさい。

純粋にいい作品なんです。「親子とは?」「家族とは?」「人とのつながりとは?」ということに普通の生活を通じて気づかされるお話です。

親子の絆に涙

一番最初に読んだとき『自分が主人公と同じ立場になったら、どうするやろ』と感じました。

主人公、健一は奥さんと娘の三人家族。この奥さん(朋子)が、亡くなってしまいます。娘さん(美紀)が1歳半のとき。それも病気になってすぐに。

昔、ためしてガッテンの元プロデューサーの方の「ダイエットが重要」という趣旨の講演を聞いたことがあります。

そこで、その方がおっしゃってたのが『心筋梗塞や脳卒中は家族とお別れも言えない。交通事故と同じ。でもダイエットして健康になれば防げる!』という趣旨でした。

奥さんの朋子さんは、心筋梗塞とかではないのですが、発症してすぐに亡くなってしまいます。十分なお別れもできずに。

冒頭から「朋子さんが無念だったろうな」ということが一番刺さります。

そして、突然のパートナーの死と小さな娘を一人で育てることになった主人公の葛藤。どうしても「自分だったら」ということをすぐ考えてしまいます。

当たり前なのですが、大人たちは朋子の記憶を持っています。しかしながら娘の美紀はお母さんが亡くなったのが1歳半のときなので記憶がない。

父と娘の二人暮らしなので、普通の家族だったら当たり前のことがそうではない。

しかも、日々の生活を優先するとその特殊な状況にも主人公は全く気づかない。

そんな日々の中で、両親がいれば問題にならないことが、ふと問題となって表れて、騒動が巻き起こっていく。

とにかく健一が一生懸命に美紀に愛情を注ぐ。美紀もそれに応える。

『毎年毎年の美紀の成長記録の短編』が集まってるのですが、毎回最後に、泣いてしまいます

子供の成長に涙

もう一人の主人公というべき、娘、美紀。

この子が、めちゃめちゃいい子なんです。素直にまっすぐに、成長していきます。

お母さんがいないという境遇で、最初は当たり前ですが嫌な目にも会います。でも、まわりの大人に支えられて、自分というものを確立していきます

彼女の成長に涙するとともに、この成長を母親である朋子は、体験できないのだという事実が寂しさをともないます。

ステップという作品は、美紀が小学校を卒業するまでなのですが、美紀の今後の成長を見てみたい!と読者がみな思う、そして応援し続けたくなる。

朋子に似てくるんだろうなとぼんやり想像する。

最後に美紀が「ママ」と「お母さん」を使い分けるところなんか、もう半端なく健気でいとおしいキャラです。

まわりのサポートに涙

健一と美紀を取り巻く、登場人物たちはすべて温かく、優しい人々です。特に朋子の両親である、健一にとっては、義父母も時間の経過とともに変化していきます。義父だけかな。

美紀からすると祖父に当たる健一の義父、村松明。この義父がいい味出します。

人間って、「変わることができるんだ」と教えてくれます。最初のころはわかりやすい、オヤジキャラで、少しうざい感じなんです。

なんですが、年月が経つにつれ、「読者である我々の受け取り方」も含め変化していきます。

最後の最後は、この人にすべてを持っていかれてしまいます

やっぱり泣いてしまいます。

その他の登場人物もそれぞれに苦悩を抱えています。しかし、健一と美紀を支えることで支えている方も二人にかかわることで、いやされていきます。

まとめます。

小さな子供さん、特に娘さんがいる方、涙腺が弱っている方は、各章ごとに泣いてしまいます。

親子の絆、子供の成長、まわりのサポート。まるで、読者が「この子育てに参加している」かのようなほわほわする作品です。

  
この記事が少しでも皆さんに『役立つッ!』と言ってもらえるとうれしいです。

ほなね~