ラグビー

ビジネスに役立つ ラグビー関連のおすすめ本 2選っ!

ラグビーは、奥の深いスポーツです。まあ、スポーツはほとんど奥が深いですね。技術的な側面もあればメンタルの側面もあります。さらには、組織論としてもラグビーは興味深いスポーツです。

ラグビー論は、しばしば組織論や自己啓発的論になったりもします。「One for All , All for One」と言いますが、個の力と組織の力をバランスよく鍛えないと強くなれないというところがラグビーにはあります。

試合が始まると監督はあまり指示ができないというスポーツでもあります。

今回は、有名な二人の方の著書と考え方を紹介します。

ビジネスに役立つ ラグビー関連のおすすめ本 2選っ!

■エディー・ジョーンズ:「ハードワーク」勝つためのマインド・セッティング
■平尾誠二:型破りのコーチング(金井壽宏共著)

お二人とも日本代表の監督経験者です。ラグビーというスポーツをよく理解されており、その上で勝つための組織や個人の考え方、コーチングについて書かれています。

エディー・ジョーンズ:「ハードワーク」勝つためのマインド・セッティング

最初に紹介するのは2012年から2015年まで日本代表ヘッドコーチだった、エディ・ジョーンズの著書です。

目次引用 「ハードワーク」勝つためのマインド・セッティング

はじめに―マイナス思考を捨てれば、誰でも成功できる
第一章 日本人独自のやり方で勝つ
目標は不可能そうなほど大きなものがよい/スケジュールを固定するな/短所は長所にもなりえる/「完璧」にとらわれすぎる日本人 他

第二章 どう戦略を立てるか
「繰り返し」の効果/言葉を現実にする方法/部下を公平に扱うことの大事さ/目先の勝敗は気にしなくてよい/リスクを負わないと、進歩はない/明確なビジョンを持つ 他

第三章 何が勝敗を分けるか
戦いに興奮はいらない/国歌を歌えないチームが弱い理由/コーチはセールスマンに似ている/「やってみなはれ」の素晴らしさ/状況判断が苦手な日本人/成功の後に、落とし穴がある 他

第四章 成功は準備がすべて
教わる立場で考える/怒る時は必ず演技で/感情で人を評価するな/勇気とは慣れた自分を捨てること/自分を追い込むための訓練/言い訳が成功を阻んでいる/決断するから進歩が生まれる/明日のために準備せよ 他

あとがき―部下がリーダーを超える時
講談社BOOK俱楽部より

2012年にエディさんが監督就任してからの3年間の記録といっていいような内容です。2015年のラグビーワールドカップで日本代表は、南アフリカに勝利し、予選プールで3勝するなど大きく躍進しました。それを実現したエディさんの記録です。

この本で一番注目するポイントは「ジャパン・ウェイ」という日本人に合った日本代表独自のやり方を追求したということ。

ラグビーの国の代表は、他の競技と違い、多様性があります。条件はありますが国籍を問わないんですね。

組織を動かすときにはまず、個々を重視しがちです。キーマンを決めてその人を中心にチームを作るイメージ。ビジネスでも同じような傾向があります。

しかしながら、エディさんはまず、目指すべき大きな目標を設定しそこへ到達する方法を模索していきます。なんとなく目標を共有しているのではなく明確に共有させる。

また、日本代表なのだから、日本人的な日本の文化に基づいて目標に到達する方法を考えます。日本人の文化や特徴を重視するのであれば、他の競技でも同じことをやってるじゃない!と感じる人もいるかと思います。

日本のいいところ、特徴・長所を伸ばすことに注力し、基本的なことがおろそかになっては意味がありません。「体格差があって、セットプレーに負ける」ということをこれまでの日本代表は当たり前だと考えていましたが、「体格差があってもセットプレーに勝つ方法」を考えようということです。

これは、ビジネスにおいても「前提を疑え」と言われることに似ています。当たり前だと考えている前提事項が実は、簡単に覆せるものだったりします。そうなるとルール自体が変わってくる。自分の得意分野で戦えるようにできるということです。

エディさんは、「徹底的な合理主義」でもあります。このマインドは、日本人にはなかなか合いにくい考え方です。日本人はあらゆることに理由や関係性があるんだ!と考えがち。自分自身をそう納得させがちというイメージでしょうか。

例えば、ラグビーの練習では「試合でありえない」プレーを練習することがあります。体を温める等の理由があればいいのですが、「今までやってきたから」という練習だったりもします。そういう練習は徹底的に排除していくべきだという考え方です。

NHKのドキュメンタリーでエディさんが高校生をコーチする番組がありました。最初に確認したのは「皆さんの目的は何ですか?」ということ「全国大会優勝です!」となるわけですが、その後はずっと、「それで、全国大会で優勝できるのかい?」という問いかけになります。

さらに合理主義は考え方にもつながっていきます。「コントロールできないことは放っておく、コントロールできることだけ考える」これがなかなかできなくて小さなことに一喜一憂してしまうわけですが改めてその重要性を感じました。

標題のハードワークは言葉だけ見るとすごくしんどそうです。実際に大変なトレーニングだったとその後の選手たちのインタビューで感じました。しかし、ハードワーク=準備と考えるととにかく、目標に向かって徹底的に準備するということになります。勝ちたければ相手より多く準備しろ!ということですね。そこには、一切、妥協しない。という意味のハードワークでした。

自分自身を振り返ってドキッとさせられる言葉ばかりですし、組織をいかに動かすか、リーダーシップを発揮するかにおいて非常に有益な本です。

平尾誠二:型破りのコーチング(金井壽宏共著)

二冊目は、平尾誠二さんの著書なのですが、神戸大学大学院経営学研究科の金井教授との共著になっています。金井壽宏教授は、モチベーションやリーダーシップなど人事界隈では超有名な人で、私も講演等お聞きしたこと多数です。

目次引用 型破りのコーチング

1章)型を教えてもメンタルは育たない

2章)日本の組織では「自律ある個」は生まれないのか

3章)コーチングの通説を疑え

4章)だれもがついてくるリーダーシップ

5章)コミュニケーションの新発想

6章)やる気は裏切りから生まれる

7章)最強のチームをつくる

PHP研究所 HPより

基本的には、平尾さんが自分自身経験してきたことを通じて、リーダーシップやコーチングやモチベーションといったビジネスでも通じる内容を金井さんがフォロー、分析し理解を深めていくという内容です。

平尾さんの講演も聞いたことがあるのですが、経験を非常に分かりやすい言葉に変換されてました。ラグビーやっているとさらに納得するわけです。

日本代表監督としては結果は出ませんでしたが、日本ラグビー界においては本当に稀有な存在でした。若くして亡くなられたのが残念です。

「型破りのコーチング」という標題ですが、まずは「型」について話をされます。確かに日本のスポーツ指導は「型」にはめたがります。これが正しい!ということに有無を言わさず型にはめてしまう。

野球なんかでも昔はたたきつけるスイングを教えるのが当たり前でした。確かに少年野球というくくりで言うとゴロを転がした方が出塁率は上がるわけです。

しかし、これがまわりまわって、「たたきつけて打たねばならない」という「型」になってしまいます。こうやって「型」にはまること以外を否定してしまうと、その型を超える創造力のある人材が育たないということです。

ですのでコーチングとして導く側が変わらねばならないということなんですが平尾さんの面白いところは、コーチをする側は当然で、コーチをされる側の「受信機の精度をどれだけ高められるか」ということに言及しているのが特徴です。

確かに「いくら言っても聞かない!」というのは、言う方が『言う側の理屈』で進めていることがほとんどですよね。

平尾さんの講演を聞いていて、またいろんな著書でも出てきますが、ラグビーは「判断の連続のスポーツだ」ということをよくおっしゃってました。判断の連続だから「判断力」が重要。この「判断力」をいかに磨くのかということをいつも強調されていたことを思い出しました。

”「精度の高い技術だけではなく、状況判断ができる自立した個人を育てるべき」”
型破りのコーチングより引用

ラグビーは、「個人個人が強くなってはじめて集団で強くなる」ということでしょうか。そう考えると、エディーさんのやり方で、ようやく平尾さんの考えが実を結んだということですね。結果論ですが。

今回は、エディさんと平尾さんの著書を紹介しました。組織を動かす、プロジェクトを進めるリーダーにぜひ、知ってほしいことばかりですし、個人としてもモチベーションを回復するのに何度も読んで確かめたい書籍になります。

この記事が少しでも皆さんに『役立つッ!』と言ってもらえるとうれしいです。

ほなね~